糖尿病診療専門クリニックに通院するという選択
はじめに
「糖尿病専門医に糖尿病を診てもらいたい」と考えた場合,通常は大きな病院(大学病院や総合病院)を思い浮かべると思います.大きな病院に対して通院時間の長さや待ち時間が長いけれども診察時間が短いといったご不満を感じている患者さまが存在します.小さなクリニックで糖尿病の専門治療をうけることができればこうしたデメリットを感じずにすみます.今回は糖尿病診療専門クリニックに通院する選択と題して大きな病院との比較を中心にお話したいと思います
初めて受診する際の敷居の低さ
大きな病院に初めて受診する場合にはかかりつけ医の先生からの紹介状が必要になります.検診などで血糖の異常を指摘された場合に大きな病院の糖尿病内科を最初に受診することは少ないと思います.糖尿病診療専門クリニックでは初めて受診する場合に紹介状は必要ありません.検診の結果を持参して最初から専門医に診てもらうことができます.糖尿病の治療を早期の段階から専門医に診てもらうことができる点は患者さんにとっても大きなメリットと考えられます.
定期的な通院のしやすさ
糖尿病や高血圧,高脂血症などは生活習慣病といわれています.治療の中心は生活習慣の改善にありますが薬物治療も重要な役割をもっています.定期的に医療機関を受診して検査をうけてお薬を切らさないようにすることは時間,体力や金銭的な面でも大きな負担となります.受診を中断してしまう理由として「仕事が忙しい」「自宅から通院時間がかかる」「医療費が経済的に負担となる」などがあげられます.年齢が若いほど、性別では男性ほど,そして仕事を持っている人ほど受診中断する割合が高いという報告もあります.クリニックが自宅や通勤経路の近くにあれば時間的負担の解消になりますし時間予約や土曜診療などを活用すれば仕事で忙しいための中断も防げると考えます.大きな病院で受診中断してしまった患者様が通院再開を考える場合,町の糖尿病診療専門クリニックを選択することは治療中断を防ぐという大切な意義を持つと考えられます.
些細なことでも相談できるかどうか
糖尿病専門医の役割として「血糖値をコントロールして糖尿病特有の合併症を阻止したり進行を抑えること」があげられます.合併症も3大合併症(網膜症 腎症 神経障害)や大血管障害(心筋梗塞や脳梗塞)などの血管合併症ばかりでなく悪性腫瘍も合併症と捉えられるようになっています.糖尿病患者様の悪性腫瘍を早期に発見する目くばり気配りが糖尿病専門医に求められます.早期がんが見つかった動機として「咳が長引くのでCT検査をとったら偶然早期の肺がんが発見された」「痔と思っていたが先生からすすめられて大腸カメラをうけたら早期の大腸がんが発見された」「脂肪肝と思ってエコー検査をうけたら偶然早期の肝臓がんが発見された」などの些細な症状が発見のきっかけとなっていることは少なくありません.大きな病院より糖尿病診療専門クリニックのほうが専門医に専門外のことでも気兼ねなく相談できるのはないでしょうか.
まとめ
糖尿病患者様にとって専門医受診の選択として大きな病院(大学病院や総合病院)ばかりでなく糖尿病診療専門クリニックもあがります.まだまだ糖尿病患者様の増加に比べて専門医が相対的に少ない状況が続いていて専門医を受診できたとしてもさまざまな理由から受診中断を余儀なくされる場合も見うけられます.糖尿病患者様にとって初めての場合でも受診することができて継続して通院がしやすい環境であること,些細な専門外のことでも相談しやすいことを糖尿病診療専門クリニックのメリットして説明いたしました.糖尿病患者様が受診中断することなく糖尿病ライフを全うできるようスタッフと協力してサポートをしていきたいと思います.次回は「血糖コントロール指標(HbA1c)を測定する意義」と題してご紹介したいと思います.